曖昧な日本の外務大臣の存在〜外国奉行の立場・何でも「合議制」の日本・弱気な老中たち・Tokugawaと全く異なるSatsuma・要求突っぱねた久光〜|日英の未来と友好14・国際関係・戦略的外交

前回は「幕末の日英の統治機構の大きな違い〜怒り心頭の英国公使・激怒するのが当然の事態・生麦事件の真相・超強行姿勢の大英帝国・曖昧極まりない日本の統治機構・徳川幕府と天皇〜」の話でした。

目次

曖昧な日本の外務大臣の存在:外国奉行の立場

老中 板倉勝静(Wikipedia)

徳川幕府を大混乱に陥れた生麦事件。

大英帝国は、英仏蘭米の四カ国が横浜に集め、幕府に圧力をかけます。

この時の「日本側の外務大臣は誰か」というと曖昧でした。

老中の一人であった板倉勝静。

これは、
由々しき事態だ・・・

米国との条約締結交渉などのために、新たに外国奉行が設置されました。

設置された1858年当時の外国奉行は、「幕府最高の切れ者」と言われた岩瀬忠震。

外国奉行 岩瀬忠震(Wikipedia)

ところが、当時「勅許を得ずに日米修好通商条約を締結」してしまいました。

大老 井伊直弼(Wikipedia)

「強引に条約締結に踏み切った」と言われる井伊大老ですが、「勅許を得ること」を優先していました。

岩瀬は、一体
何をやっておるんだ!

激怒した井伊大老から、岩瀬・外国奉行は罷免されてしまいます。

岩瀬はクビ!

老中 小笠原長行(Wikipedia)

大老は非常職としても、上に老中・若年寄がいる幕府の統治機構。

外国奉行は、現在の外務省局長クラスであったと考えられます。

当時、老中は他にも居て、小笠原長行らが協議します。

外国が本気で
横浜や江戸に攻め込むとは思えぬが・・・

外国に
攻め込まれたら・・・

江戸はともかく、
横浜はすぐに占領されてしまう・・・

江戸も防備を
固めつつあるが・・・

英仏蘭米の四カ国
相手では、負けるのう・・・

何でも「合議制」の日本:弱気な老中たち

John Neal駐日代理公使(Wikipedia)

圧力を
かけ続けろ!

それで、
Japanの外務大臣は誰だ?

大英帝国 外交官 Ernest Satow(Wikipedia)

それが・・・

明確な外交トップは、
不在のようです。

では、Tokugawa側は
誰が外国との交渉を決定するのだ?

現在は、
老中のようです。

ところが、老中は複数いて、
合議制です。

Japanは、
何でも曖昧だのう・・・

それが
Japanなのです・・・

アヘン戦争(Wikipedia)

アヘン戦争で
清国が一方的にやられた・・・

ここままでは
日本もまずい・・・

ここは
折れるしかないだろう・・・

老中 小笠原長行は、独断で「言い値」の賠償金10万ポンドを支払います。

Tokugawaは、
要求通り、10万ポンド払います!

なんだ。
交渉してこなかったのか?

はい。
減額交渉はありませんでした。

これでは、
Tokugawaの外交は、ガタガタだのう・・・

二国間協議は、
お互いの主張をして、双方の譲歩があるのだが・・・

はい。
Tokugawaには、その能力がありません。

ならば、そのSatsumaとやらも
脅せばすぐだのう。

そうだと
良いのですが・・・

SatsumaとTokugawaは
全然違います。

「同じJapan」とは
思えぬほど、全然違うのです。

Tokugawaと全く異なるSatsuma:要求突っぱねた久光

薩摩国父 島津久光(国立国会図書館)

案の定、薩摩藩のボス・島津久光は、大英帝国からの「賠償金と犯人逮捕の要求」に対し、

賠償金、
だと・・・?

・・・・・

エゲレスは
一体何を言っているのだ?

どうも、大英帝国の
民間人を一方的に斬ったのがまずかったようで・・・

それで、
エゲレス(大英帝国)が怒っておる、だと?

何を
言ってるんだ!

これは、我が国の作法に
従わなかった、あいつらが悪い!

ははっ!

賠償金、犯人逮捕など
もってのほか!

突っぱねろ!

承知
致しました!

生麦事件(Wikipedia)

Satsumaが、こちらの
要求を完全に突っぱねてきました。

ほう・・・

同じJapanなのに、全く異なる徳川幕府と薩摩藩の姿勢。

大英帝国のニール代理公使、アーネスト・サトウ外交官らは、先を読みながら考えます。

新地球紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次