前回は「外国の方に対しては「分かりやすい言葉」を 5〜「戦争=外交の延長」という考えに逆行した「黙殺」・ポツダム宣言と天皇制・「黙殺」によって導かれた歴史・外交と大義名分〜」の話でした。
米大統領が持つ拒否権の強さ
今回はトップとして「拒否することの大事さ」です。
我が国のトップたる内閣総理大臣、あるいは各省庁のトップたる大臣の方々。
その方々が、何らかの大きな決定事項を「拒否する」というのは、あまり聞いたことがありません。
米国大統領はVeto(拒否)して、拒否権発動によって、議会で通った政策を潰すことがあります。
私の考えに合わないことは、
議会で通ろうと関係ない!
私は、その法案に
Veto(拒否)するだろう!
国連の安全保障理事会では、米国・ロシア・中国・英国・フランスの常任理事国に拒否権があります。
そして、どちらかの陣営にとって不利益な事態が採決となると、
よしっ!
拒否権発動!
ズバッと「拒否権発動」であっさり、案を潰してしまうことがしばしば起こります。
内閣総理大臣の権限がどのように決められているかに関しては、様々な解釈もあるでしょう。
日本の憲法や法律で、総理大臣の権限はどのようになっているのでしょうか。
総理大臣には、拒否権発動する権利があるのかないのか、というとなさそうです。
極めて弱い総理大臣の権限
総理大臣の法律的な「拒否権」はよく分からないです。
とにかく、総理大臣の具体的な権限は、諸外国の「政治トップ」よりも遥かに弱いと思われます。
憲法に明記されていませんが、日本の国家元首は天皇であるのが明確です。
拒否権がらなくても、「政治上の国家元首」たる総理大臣として、
これは絶対に、
受け容れられない!
という事柄があったら、はっきりと「拒否」して欲しいと思います。
ハッキリと「総理のカラー」を出して欲しいです。
トップは「決めること」も大事ですが、「拒否する」もまた同等に大事だと思います。
日本の原爆投下都市の決定:トップの矜持
一つの例として、第二次世界大戦の最後に日本に原爆投下された際の話です。
ヨーロッパを一時は席巻していたドイツは、1945年5月9日に連合国に降伏。
ドイツ降伏の直前の1945年4月30日に、独裁者ヒトラー総統は自殺しました。
米国・英国はじめとする連合軍に対する枢軸国は日本のみ。
「日本一国で世界中と戦っている」という異常事態でした。
強力な米軍に対して、敗退を続けていた当時の日本。
「絶対国防圏」もあっさり破られてしまいましたが、領土は今の日本よりもだいぶ広かったのです。
「大日本帝国」の領土は台湾・朝鮮半島から中国・タイにまで及ぶ広大な領土を有していました。
日本が配色濃厚であっても、日本軍は各地で頑強な抵抗を続けていました。
当時、米陸軍を率いてフィリピンで日本軍と死闘を続けていたマッカーサー司令官。
Japanを降伏させるには、
あと1年ほどかかるのでは・・・
と考えていたようです。
その中、トルーマン米大統領により、原爆投下の決定がなされます。
Japanに
原爆を投下せよ!
そして、具体的に「日本のどこに投下するのか」という議論になります。
米国の原爆計画は「マンハッタン計画」と呼ばれ、大統領直属組織でした。
それでもなお、原爆を投下するのは陸軍である以上、「投下都市・時期」を陸軍長官が決定します。
1945年に米国が日本に原爆を投下した時の陸軍長官(陸軍大臣)はヘンリー・スティムソン。
当時の鈴木貫太郎首相が、原爆投下前に発表されたポツダム宣言を「黙殺」した結果、
ポツダム宣言を
Japanはignoreしたのだ!
原爆を
落としてやれ!
はっ!
スティムソン陸軍長官は、鈴木首相と非常に対照的な行動に出ます。