拒否することの大事さ 1〜トップの矜持・日本の原爆投下都市の決定・米大統領が持つ拒否権の強さ・極めて弱い総理大臣の権限〜|原爆と世界

前回は「外国の方に対しては「分かりやすい言葉」を 5〜「戦争=外交の延長」という考えに逆行した「黙殺」・ポツダム宣言と天皇制・「黙殺」によって導かれた歴史・外交と大義名分〜」の話でした。

目次

米大統領が持つ拒否権の強さ

Donald Trump 米前大統領(Wikipedia)

今回はトップとして「拒否することの大事さ」です。

我が国のトップたる内閣総理大臣、あるいは各省庁のトップたる大臣の方々。

その方々が、何らかの大きな決定事項を「拒否する」というのは、あまり聞いたことがありません。

米国大統領はVeto(拒否)して、拒否権発動によって、議会で通った政策を潰すことがあります。

私の考えに合わないことは、
議会で通ろうと関係ない!

私は、その法案に
Veto(拒否)するだろう!

国連の安全保障理事会では、米国・ロシア・中国・英国・フランスの常任理事国に拒否権があります。

そして、どちらかの陣営にとって不利益な事態が採決となると、

よしっ!
拒否権発動!

ズバッと「拒否権発動」であっさり、案を潰してしまうことがしばしば起こります。

内閣総理大臣の権限がどのように決められているかに関しては、様々な解釈もあるでしょう。

日本の憲法や法律で、総理大臣の権限はどのようになっているのでしょうか。

総理大臣には、拒否権発動する権利があるのかないのか、というとなさそうです。

極めて弱い総理大臣の権限

新地球紀行
岸田文雄 総理大臣(Wikipedia)

総理大臣の法律的な「拒否権」はよく分からないです。

とにかく、総理大臣の具体的な権限は、諸外国の「政治トップ」よりも遥かに弱いと思われます。

憲法に明記されていませんが、日本の国家元首は天皇であるのが明確です。

拒否権がらなくても、「政治上の国家元首」たる総理大臣として、

これは絶対に、
受け容れられない!

という事柄があったら、はっきりと「拒否」して欲しいと思います。

ハッキリと「総理のカラー」を出して欲しいです。

トップは「決めること」も大事ですが、「拒否する」もまた同等に大事だと思います。

日本の原爆投下都市の決定:トップの矜持

Adolf Hitler独総統(Wikipedia)

一つの例として、第二次世界大戦の最後に日本に原爆投下された際の話です。

ヨーロッパを一時は席巻していたドイツは、1945年5月9日に連合国に降伏。

ドイツ降伏の直前の1945年4月30日に、独裁者ヒトラー総統は自殺しました。

米国・英国はじめとする連合軍に対する枢軸国は日本のみ。

「日本一国で世界中と戦っている」という異常事態でした。

強力な米軍に対して、敗退を続けていた当時の日本。

「絶対国防圏」もあっさり破られてしまいましたが、領土は今の日本よりもだいぶ広かったのです。

「大日本帝国」の領土は台湾・朝鮮半島から中国・タイにまで及ぶ広大な領土を有していました。

大日本帝国の敗戦時の領土(第二次世界大戦全史 洋泉社MOOK)

日本が配色濃厚であっても、日本軍は各地で頑強な抵抗を続けていました。

当時、米陸軍を率いてフィリピンで日本軍と死闘を続けていたマッカーサー司令官。

Douglas MacArthur連合軍総司令官(Wikipedia)

Japanを降伏させるには、
あと1年ほどかかるのでは・・・

と考えていたようです。

その中、トルーマン米大統領により、原爆投下の決定がなされます。

Harry Truman米大統領(Wikipedia)

Japanに
原爆を投下せよ!

Henry Stimson陸軍長官(Wikipedia)

そして、具体的に「日本のどこに投下するのか」という議論になります。

米国の原爆計画は「マンハッタン計画」と呼ばれ、大統領直属組織でした。

それでもなお、原爆を投下するのは陸軍である以上、「投下都市・時期」を陸軍長官が決定します。

1945年に米国が日本に原爆を投下した時の陸軍長官(陸軍大臣)はヘンリー・スティムソン。

当時の鈴木貫太郎首相が、原爆投下前に発表されたポツダム宣言を「黙殺」した結果、

ポツダム宣言を
Japanはignoreしたのだ!

原爆を
落としてやれ!

はっ!

スティムソン陸軍長官は、鈴木首相と非常に対照的な行動に出ます。

新地球紀行

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