前回は「増強すべき「女性の大学進学環境」〜異常に女性が少ない日本の大学・低下続ける日本のGlobal Gender Gap指数・もうすぐ発表の”2024 Global Gender Gap Report”〜」の話でした。
「国家の電圧」が下がり続ける日本:世界第四位となったGDP

第二次世界大戦でドイツと共に連合国および世界中を敵に回して戦った日本(大日本帝国)。
1945年に敗戦を迎えて全土が焦土と化しながら、戦後に急速な勢いで復興しました。
その「大敗戦の1945年」から、来年2025年で80年となります。
1960年〜80年代に急速すぎる高度成長を成し遂げた日本は、なんと一時は、

我が日本は
世界第二位の経済大国!



我が日本のGDPは
世界第二位だ!
となり、1977年生まれの筆者の世代では、「世界第二位は当然」のように感じられたものです。
バブル崩壊後、なんとなくずっと元気がない日本。
2010年頃、急成長成し遂げた中国に、GDPは大きく抜かれて「世界第三位」となりました。



中国に抜かれて、
世界第三位になってしまった・・・
「第三位に転落」と思ったら、2024年にはドイツにも抜かれる状況になりました。



今度はドイツに
抜かれて、世界第四位か・・・
何事も「ランキングが落ちる」のは気持ちの良いことではありません。
経済力は一つの指標に過ぎませんが、人口も減少を続け、色々と減少を続けているのが日本です。
バブル期には、



Japan
as No.1!



Japan is a
Money Machine!
世界中から「Japan礼讃」の声が聞こえてから35年ほどの間に一気に凋落した感じの日本。
まるで「国家の力の源」である「国家の電圧」が、一気に下がってしまったかのようです。
女性の活躍が少なすぎる日本:国内大学の女性率の異常な低さ


そして、日本の「国家の勢い」や「国家の電圧」の低さを如実に示している指数があります。
上記リンクでご紹介しましたが”2024 Global Gender Gap Index”において、118位だった日本。
世界中が評価の対象ですが、「118位」というランキングは「超絶的な低い」ランクです。
この”Global Gender Gap Index”は、「女性の活躍」を多方面から評価しています。
Education Attianment | 2024 | 2023 |
Literacy rate | 1st | 1st |
Enrolment in primary education | – | 1st |
Enrolment in secondary education | 1st | 1st |
Enrolment in tertiary education | 107th | 105th |
その評価=指数(Index)の一つに”Enrolment in tertiary education”があり、107位です。
日本には珍しく「1位が並ぶ」のは、欧米などの多くの国も同じで「初等教育における女性の割合」です。
つまり、小学校〜中学校などの義務教育においては、



まあ、Japanは、小中学校では
女性も学ぶ機会がちゃんとある・・・
ところが、問題は高等教育である「大学における女性割合」で、それが一気に下がり107位です。



Japanの大学・大学院などの
高等教育では女性が少な過ぎる・・・



Japanの大学・大学院などの
高等教育では女性が少な過ぎる・・・
諸外国では、それほど多くない「女子大学=女性のみが通える大学」がたくさん残っている日本。
そのため、全体で見れば、大学における女性の割合は「それなりにある」はずです。
ところが、これらの女子大学は文系が中心である傾向があり、理系は非常に少ないです。
これは、



女子が数学や物理を
学ぶのも「妙」だから・・・
戦後〜昭和時代、日本では「女子は理科系に行くのは変」みたいな社会通念があったようです。
この「異常な社会通念」が女子大の「文系中心」の傾向を作ったのでしょう。
そして、東大・京大などの国立大学における女性・女子の割合の低さも大きな問題です。
科類 | 2024年女性の割合(%) | 2023年女性の割合(%) |
文科I類 | 28.4 | 30.5 |
文科II類 | 17.7 | 20.4 |
文科III類 | 38.2 | 40.6 |
理科I類 | 8.4 | 8.3 |
理科II類 | 20.1 | 27.1 |
理科III類 | 21.4 | 24.7 |
全体 | 20.2 | 22.3 |
一例で、東大の各科類の「女性の割合」(2023年、2024年)をまとめた表が上です。
全体では「わずか20%しかいない」女性。
「男女比はだいたい半々」なので、女性は50%程度いるのが「普通の姿」です。
特に理工系の理科I類の「女性の少なさ」は際立っており、近年はわずか8%ほどです。
この「8%」という数字は、現在の消費税の割合を下回っており、「実感がない」数字と言えるでしょう。
“Global Gender Gap Index”において、「超後進国」とも言える日本。
その大きな理由の一つが、「高等教育における女性の異常な少なさ」です。
昭和の時代には、



勉強し過ぎると、
女性はお嫁に行けなくなる・・・
このような極めて異様で、「誤った」社会通念が蔓延していた日本。
この「誤った社会通念」がありながら、極めて高い高度成長を成し遂げた日本では、



やっぱり、女性は
「ほどほどに」勉強して、家を守るのよ!
このような社会通念が強化されてしまったかもしれません。
その後、元気がなくなってしまった日本では、女性にもっと、もっと活躍して頂く必要があります。
諸外国では「当たり前」の「高等教育を受けた女性が普通にいる」国。
これこそ、まずは日本が「目指すべき国家像」なのかもしれません。