前回は「増強すべき「女性の大学進学環境」〜異常に女性が少ない日本の大学・低下続ける日本のGlobal Gender Gap指数・もうすぐ発表の”2024 Global Gender Gap Report”〜」の話でした。
“2024 Global Gender Gap Report”118位の日本:激しいアップダウン
先日発表された”2024 Global Gender Gap Index”において、118位だった日本。
2022年は116位、2023年は125位に落ちた日本は、今年は少し持ち直して118位でした。
146の国家が評価対象となる中、118位は相変わらずビリ同然の「残念な結果」でした。
「変わらない国家」日本では「評価が低いまま変わらない」のが通常の姿かもしれません。
この”Global Gender Gap Index”は、比較的ランキングのアップダウンが激しい指標です。
トップ層は、ほとんど顔ぶれが変わりませんが、Spainの8位アップが目立ちます。
Rank | Economy | Rank Change from 2023 |
1 | Iceland | – |
2 | Finland | +1 |
3 | Norway | -1 |
4 | New Zealand | – |
5 | Sweden | – |
6 | Nicaragua | +1 |
7 | Germany | -1 |
8 | Nambia | – |
9 | Ireland | +2 |
10 | Spain | +8 |
そして、最も躍進したのが今年16位のEcuadorで、34位アップです。
最もダウンしたのが、今年99位のBangladeshで、40位ダウンしました。
この様にランクアップ・ダウンが比較的大きい中、7位アップで118位となった日本。
「ランクアップ・ダウンが大きい」理由は、その国家(Economy)が激変したとは思えません。
この理由は、少しの違いが大きな影響をもたらすと考えます。
望まれる日本の女子中高生への理系への強い推奨
この”2024 Global Gender Gap Report”の、我が日本における大きな指標を見てみましょう。
Subindex | 2024 | 2023 | |
Economic Participation and Opportunity | 120th | 123rd | |
Educational Attainment | 72nd | 47th | |
Health and Survival | 58th | 59th | |
Political Empowerment | 113th | 138th |
パッとみて、”Political Empowerment”が大きく躍進して、25位上昇しています。
Japanの政治家は
男性ばかりで、女性が少なすぎ・・・
と言われる中、大して変わってないように思われますが、大きく順位を上げました。
「大きく順位を上げた」といっても、昨年が138位と事実上ビリでしたから、考えものです。
そして、大きくランクダウンしたのが”Educational Attainment”で、47位から72位と25位下げました。
これらのSubindexの重み付けは不明ですが、「概ね対等」と考えます。
この時、”Political Empowerment”と”Educational Attainment”でちょうどアップ・ダウン相殺です。
Education Attianment | 2024 | 2023 |
Literacy rate | 1st | 1st |
Enrolment in primary education | – | 1st |
Enrolment in secondary education | 1st | 1st |
Enrolment in tertiary education | 107th | 105th |
気になるのは、”Enrolment in primary education”の小学校レベルのランクが”-“であることです。
日本からの指標提出が少なかったのか、どういう理由なのか。
いずれにしても、こういう基本的指標で「点数がつかない」のは絶対に避ける必要があります。
そして、「高校以降」つまり「大学における女性割合」で、105位から107位に下がった日本。
日本の大学では、
特に理工系の女性が少なすぎる・・・
と言われ続けてきた中、状況は大して変わらず、現在も女性は少ない状況が続きます。
上の四つのSubindexにおいて、”Health and Survival”は、まあまあ良いと考えます。
問題は120位の圧倒的に低い”Economic Participation and Opportunity”を、どうにか改善すべきです。
ここで、”Economic Participation and Opportunity”と”Education Attianment”は強い関係があります。
「社会・経済における参加」には、学歴は大きな影響をもたらすでしょう。
「学歴が重要かどうか」という議論以前に、「ある程度の素養としての学問」は必須です。
この観点から考えるとき、まず最も改善すべき対象は”Education Attianment”であるべきです。
それなのに、日本では、
もっともっと
女性の管理職を増やすんだ!
女性にも
もっとチャンスがなければ!
と「社会における女性」ばかりの視点が多いですが、その前に「大学における女性」が重要です。
この議論では、「出口ばかり議論していて、入口の議論がない」様に感じます。
とにかく、早々に日本の大学において、特に理工系の女性率を上げなければ、日本の先行きは暗いです。
どうしたら、
日本の大学の理系学部で女性が増えるか・・・
という議論がずっと続き、
ならば、「女性しか合格できない」
女性枠を作ろう!
と京都大学などが決定しました。
これもまた「大学入試という高校からの出口」の話ばかりです。
肝心なのは、「入口=中高教育における女子中高生に対する理系への強い推奨」であるべきです。
女子中高・共学中高の現場において、ぜひ、
数学や物理は
とても楽しく、現代社会の基盤だ!
ぜひ、女性も理工系に
興味を持って、進んでほしい!
と、「理工系の女性」に対して、女子中高生に夢を持つように働きかけてほしい。