ハイテクで米国排除を加速化する中国〜米中対立と”Delete A”・研究者超重視の中国と研究者軽視の日本・中国市場でのビジネス・中国企業との合弁と機密漏洩の可能性〜|世界のハイテク技術の行方1

前回は「米国などの温暖化対策実地実験〜現代日本に「最も欠けていること」・急速な勢いで進む気温の上昇・史上最高となった海水温・1985年フィラハ会議から40年〜」の話でした。

目次

中国市場でのビジネス:中国企業との合弁と機密漏洩の可能性

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集積回路(Wikipedia)

ロシアによるウクライナ侵攻によって始まった、「ウクライナ戦争開戦」から2年以上経過しました。

開戦した2022年以降、欧米と中露の間では熾烈な駆け引きが行われています。

資源・エネルギー・科学技術などの面で、両陣営が「相手方を引き離そうとする」動きが強まりました。

The Wall Street Journalで、中国の「テック分野の米国排除加速」が報じられました。

もともと、自国・中国でビジネスをする際に、合弁会社設立を強制してきた中国政府。

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左上から時計回りに、Volodymyr Zelenskyウクライナ大統領、Joe Biden米大統領、Xi Jinping(習近平)中国家主席、Vladimir Putin露大統領(Wikipedia)

西側諸国の発想とは根本的に異なり、

我がChinaで
ビジネスをしたいなら・・・

China企業と
合弁会社を設立するのが条件!

中国政府と「直接的関わり」を持つ企業が多い中国企業。

その中国企業と合弁会社を作ることは、知的財産権や機密の漏洩の恐れがあります。

それでも、巨大市場の中国への参入が必至であった米国をはじめとするテック企業は、

Chinaの企業と
合弁企業か・・・

それは、機密が漏れて
China政府に管理される可能性があるが・・・

やむを得ない・・・
急発展しているChinaの巨大市場は、なんとしても欲しい!

特に2000年頃から目覚ましい勢いで成長続ける中国に、「機密が漏れる」ことを承知で乗り込んだ欧米企業。

そして、

やはり、Chinaの市場で獲得する
Moneyは莫大で魅力的だ・・・

欧米企業、とくに米国企業は中国で莫大な利益を上げ続けました。

ハイテクで米国排除を加速化する中国

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万里の長城(新地球紀行)

巨大な土地と膨大な人口を抱える中国という特殊すぎる国家。

米国の広さも広大ですが、中国の広さはさらに上回り、雄大なほど広い国土を持ちます。

欧米企業が「機密漏洩」と「中国政府管理」の危険を承知しながら、進出を続けて20年以上。

もっともっと我がChinaの
自国製品を作るのだ!

Xi Jinping(習近平)国家主席率いる中国政府は、特に「米国の技術からの脱却」を狙っていました。

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ウクライナ戦争(Wikipedia)

このタイミングで勃発したのが、ウクライナ戦争でした。

ウクライナ侵攻に関しては、Xi Jinping(習近平)中国家主席もある程度は予期していたかもしれません。

Xi Jinping(習近平)中国家主席がプーチン大統領から「どの程度事前に聞いていたか」は不明です。

いずれにしても、 あらゆる分野で「欧米vs中露」の構図がハッキリしてきた現在。

United Statesの
ハイテク技術がなくても良いようにするのだ!

とにかく、United Statesが
ハイテクの根幹を握っている状況はなくす!

世界のハイテク分野の「根幹を握っている」とも言える米国の最先端科学技術。

米国初の特許は膨大な数であり、第二次世界大戦前から特許を極めて重視してきた米国。

我がUnited Statesの企業が
特許を握っている限り・・・

ハイテクの根幹は
United Statesなしには不可能!

20世紀以降の最先端科学技術の世界の流れは「米国中心」であり「米国なしには考えられない」状況でした。

米中対立と”Delete A”:研究者超重視の中国と研究者軽視の日本

新地球紀行
NVIDIA Geforce 256(Wikipedia)

ここで、長い間に欧米の様々な企業から機密を取得し、自国の技術力を飛躍化させた中国。

Huaweiなど様々な企業が大躍進を遂げて、巨大なハイテク企業が次々誕生しました。

そして、中国国内の大学・大学院を重視した中国政府。

我がChinaの
国内大学・大学院の研究を推進せよ!

必要なMoneyは
中央政府が出そう!

中国の国家としての躍進と軌を一にして、中国の大学・大学院もめざましく躍進しました。

私自ら研究所を訪問して、
話を聞こう!

「形だけの訪問」ではなく、研究所などを積極的に訪問して、

Xi Jinping(習近平)国家主席、
この技術は〜を目指しています・・・

うむ、とても興味深いな・・・
よしっ、一層励んでくれ!

はっ!
一生懸命、研究を続けます!

日本のように国内大学・大学院を軽視する「極めて愚かな発想」とは対極的でした。

新地球紀行
岸田文雄 総理大臣(Wikipedia)

そもそも、最先端科学技術には興味がなさそうで、「形式的ではない」研究所訪問は考えにくい岸田首相。

ハイテクと言われてもさ・・・
よく分からないからさ・・・

日本にありがちな「よく分からない」ことは触れない感じで、政治と最先端科学技術が「大きく解離し続けた」日本。

その結果、日本では「研究者軽視」の風土が浸透してしまいました。

対して、「研究者超重視」の中国では研究者が優遇され、中国の特許数は猛烈な勢いで伸びました。

特許は中身が大事で、必ずしも「数で勝負する」必要はありません。

それでも、世の中では「量が質に転換する」ことがあるので、「量を目指す」姿勢も大事です。

2000年代には、中国政府最高指導部7名のうち「理系出身者が多数を占めた」時代がある中国。

「理系軽視」の日本とは対極的であり、中国の最先端科学技術は強い勢いで伸びました。

もう十分だろう!
部品に至るまで、全てChinaで生み出すのだ!

この米国排除は”Delete A(America)”と呼ばれているようで、

United States of Americaの
製品・部品を一切不要にせよ!

深刻化を続ける米中対立の中、「極めて明確」というより「明確過ぎる」国家戦略を持つ中国。

中国と米国の最先端科学技術の「見えない戦争」は、今後熾烈さを強めてゆきそうです。

そして、米中のハイテク企業は中央政府から大量の補助金や発注を受け、躍進を続けるでしょう。

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