地球同盟軍化するNATO〜急速に膨張するNATO・スウェーデンNATO正式加盟・「地獄の戦争」独ソ戦と欧州・東欧NATO加盟諸国とワルシャワ条約機構〜|2024世界の未来

前回は「膨張するNATO〜米露の深刻な対立・フィンランド・NATOの思想・SCO上海協力機構〜」の話でした。

目次

急速に膨張するNATO:スウェーデンNATO正式加盟

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NATO加盟国:2024年(Wikipedia)

2024年3月7日に、スウェーデンがNATOに正式加盟しました。

2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵攻、そしてそれに続く長期化するウクライナ戦争。

ここにおいて、「軍事的中立」を保ってきたスウェーデンがNATO加盟を正式申請していました。

そして、ついに正式に承認され、32番目のNATO加盟国となったスウェーデン。

同時期に加盟申請していたフィンランドと共に、北欧2カ国がほぼ同時期にNATO加盟しました。

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NATOの拡大:1949年〜2024年(BBC)

このスウェーデン・フィンランドのNATO正式加盟は、世界の軍事同盟上、極めて重みがあります。

二次元の地図で見ると、NATOが急速に膨張している印象を受けます。

これは、多くの「二次元地球地図」の表記法では、北欧は実態よりも拡大されて表示されることもあります。

一方で、NATOの「急速に膨張している印象」は「印象」に留まらず、世界に甚大な影響を与えそうです。

東欧NATO加盟諸国とワルシャワ条約機構

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左上から時計回りに、Volodymyr Zelenskyウクライナ大統領、Joe Biden米大統領、Xi Jinping(習近平)中国家主席、Vladimir Putin露大統領(Wikipedia)

そもそも、1949年に成立したNATOは、主に「強力なソビエト連邦に対抗する西側軍事同盟」でした。

そして、ソビエト連邦側も「米国に対する東側軍事同盟」を組織していました。

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ワルシャワ条約機構(Wikipedia)

それがワルシャワ条約機構でした。

この東側軍事同盟名称に「ワルシャワ」と東欧のポーランド首都の名称が冠されていることがポイントでした。

つまり、当時のソビエト連邦に与する勢力として、欧州の東側の諸国があったのでした。

その後、ソビエト連邦崩壊に合わせて、ワルシャワ条約機構も崩壊に至り、ロシアが誕生しました。

ところが、ソ連解体後にロシアは大きな混乱期に入りました。

そして、一時は「米国かロシア(ソ連)か」という「超大国の地位」が一気に落ちました。

その後、ポーランドなどの東欧諸国が、1997年以降次々とNATOに正式加盟。

これは「ロシア側の視点」から見れば、「仲間が次々と敵側陣営に入った」ことになりました。

これに対して、ロシアのプーチン大統領は、

Putin

NATOは
東側に伸長しすぎだ!

Putin

なぜ、NATOはロシア国境に
ヒタヒタと迫ってくるのだ!

強い懸念を感じて、NATOや米国に対する怒りを表面化させていました。

そして、この急拡大するNATOに対する抑制もまた、ロシアのウクライナ侵攻の一つの理由でした。

地球同盟軍化するNATO:「地獄の戦争」独ソ戦と欧州

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左上から時計回りに J.Stalinソビエト連邦指導者、Franklin Roosebelt米大統領、東條英機首相、Adolf Hitler独総統(Wikipedia)

かつて「独ソ戦」で死闘を繰り広げ、ドイツにモスクワ占拠される寸前まで追い詰められたソ連(ロシア)。

Putin

我がRussiaは、西から
Hitlerに追い詰められた・・・

ドイツは当時最強であった戦車部隊による「電撃作戦」によって、欧州全土を席巻しました。

「地獄の戦争」と言われた「独ソ戦」では、独ソ双方に膨大な戦死者、民間人の死者を出しました。

当時は、西側の発想から見れば、ドイツもソ連も「思想的には全く合わない」中でした。

米国中心とする連合国に対して、ドイツ中心の枢軸国が戦い続けた第二次世界大戦。

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1941年ヨーロッパ・アジア支配圏(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

当時は日本(大日本帝国)は枢軸国側に与し、ドイツと共に欧州とアジアを席巻しました。

「欧米・西側的発想」から見れば、「人類の敵」であったHitler。

Roosebelt

何がなんでも「人類の敵」である
Hitlerを叩き潰すのだ!

Roosebelt

そして、Hitlerに与した
Japanは、我がUnited Statesが倒す!

当時、「欧州全土がドイツとなる勢い」であり、英国(大英帝国)もまたドイツに「敗北寸前」でした。

Hitler

よしっ!
バルバロッサ作戦発動!

独ソ戦(バルバロッサ作戦)(Wikipedia)

ここで、一気にソ連に宣戦布告したドイツは、瞬く間にソ連西方を席巻しました。

ところが、ソ連の特殊すぎる過酷な冬は、「冬将軍」となってドイツに襲いかかり作戦は頓挫しました。

米国とは、様々な思惑の交錯があったものの、「ドイツの敵=連合国側」とならざるを得なかったソ連。

Stalin

まさか、我がUSSRが
ここまでHiterに押しまくられるとは・・・

そして、連合国側にソ連が加わり「米英ソvs日独」の戦いとなり、日独の敗戦となりました。

現代の価値観から考えれば「米英ソvs日独」では「日独の敗北は必至」ですが、当時は善戦しました。

その後、「勝者同士の衝突」で「米ソ冷戦」となった歴史があります。

このように「軍事史において、キープレイヤーであり続けた」ロシアは、NATOに押されているのが事実です。

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左上から時計回りに、Rishi Sunak英首相、Joe Biden米大統領、Olaf Scholz独首相、Emmanuel Macron仏大統領(Wikipedia)

そして、急速な膨張を続けるNATOは、欧州全土に及ぶことになりました。

なんと言っても、軍事費の70%を握る米国の存在が絶大なNATO。

32カ国もの軍事加盟国をもち、英国・ドイツ・フランスなどの大国も加盟しているNATO。

第二次世界大戦直後は、「欧州と米国の協調軍事同盟」であったNATO。

NATOは、ソ連崩壊後に大きくその性格を変えました。

軍事力は米国が圧倒的でしたが、まだまだ欧州の大国の力が強かった第二次世界大戦直後と現代は状況が異なります。

現在では軍事力としては「NATO=米国+アルファ」であり、

NATO所属国家A

United Statesが
一緒なら、我々は大丈夫!

NATO所属国家B

NATOに加盟したから、
もし、我が国を攻撃する国家・組織があっても・・・

NATO所属国家B

即座にUnited Statesの軍隊が
戦ってくれる・・・

欧州各国は、「米国に守られる立場」が強くなりました。

「地球同盟軍」となりつつあるNATOの存在は、さらに米国の軍事力の影響力が強まりそうです。

そして、最近発展が著しいAIもまた軍事活用が進んでいる現在。

米国の軍事・科学技術はさらなる増強を続け、「米国の覇権」がさらに強まりそうです。

次回は上記リンクです。

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