前回は「ドル高と世界経済 2」の話でした。
大混乱続くトラス英政権

トラス英首相が、クワーテング財務相を解任しました。

保守党党首選(首相選)で掲げた目玉公約である大減税を次々と撤回しているトラス首相。

スナーク元財務相から「おとぎ話」と繰り返し非難されていたトラス首相の大減税策。
減税策発表後にポンドが急落するなど、英国経済に甚大なダメージとなる事態となりました。
その結果を受け、迅速に撤回した大減税策ですが、これではトラス首相を「選任した理由」が不明瞭になります。
世界第6位のGDPを持つ英国であり、金融立国である英国の経済政策の失態は世界に大きな影響を与えています。
英国債は乱高下し、昨日のDowは昼にDow Futureが大きく上げる場面があり、その後急落しました。
米国の猛烈なインフレとドル高

米国の高いインフレは沈静化せず、ドル高が続いています。
今年の1月に1ドル=115だった、ドル相場はついに1ドル=148円にまで、円安が進みました。
かつて「安全資産」と言われた円ですが、金利も低く、取引高が大きく下落し、魅力が大きく損なわれています。
米商務省の規制を受け、米国の半導体メーカーは中国と距離を置き始めました。
ウクライナ戦争によって始まった世界経済の混乱。
英国の混乱によって、混迷が強まり、世界経済の先行きは非常に困難な状況となっています。
プロに財務を任せた英国:アマチュアが大臣務める日本

新たに就任したジェレミー・ハント新財務相は、外相などの経験者です。
今年英国で四人目となるハント財務相は、元実業家で日本に2年近く滞在した経験があります。
財務相としての能力は未知数ですが、「世界金融市場の中心」として英国が復活する政策を期待したいと思います。
この「プロに任せる」姿勢は、英国および欧州らしい発想で好感が持てます。
「なんとなく大臣」で「プロでもなんでもない」方を大臣にする日本とは大違いです。
昨日、日経平均は大幅上昇し、欧州株も少し上げたものの、米国株が大きく下落しました。
当面、上昇と下落が短期的に生じる事態が続くと考えます。