前回は「東條首相「止むなく米英蘭と開戦す」〜帝国存立危機と乾坤一擲戦争・ハルノートを「放っておいた」帝国政府・宣戦詔勅草案優先の謎〜」の話でした。
戦火を広げたナチス・ドイツと大日本帝国:「悪役」枢軸国コンビ

1939年9月1日、ナチス・ドイツのポーランド侵攻を機に開始した第二次世界大戦。
当初は、「欧州大戦争」の様子を見せている中、戦火を広げたのがヒトラーでした。

HitlerSovietへ
侵攻する!
1941年6月22日、ナチス・ドイツは、不可侵条約を一方的に破棄した上で、ソビエトに侵攻開始しました。



おのれっ!
Hitlerめが!
ヒトラーによって、「欧州大戦争」は、「世界大戦」になったと表現して良いでしょう。



我がUSは、後方支援のみで、
表立っては、参戦していない!
ただし、この時は、世界最強国であった米国が「後方支援のみ」でした。



私が異例の大統領三選の時に
公約したのだ!



米国の若者たちを
欧州戦争に送らない、と。
公約をいとも簡単に破棄する日本の政治家と異なり、欧米の政治家は「公約は絶対」です。
そのため、ルーズベルト大統領は、「自ら参戦」は、絶対にできない立場でした。
当時、大日本帝国は「支那事変」と呼んでいた日中戦争で、アジア大陸を侵攻していました。
そして、1941年12月8日に、真珠湾奇襲攻撃によって、日米戦争が開始した歴史があります。
この歴史から、枢軸国として、ナチス・ドイツと同盟を締結し、



真珠湾を
奇襲攻撃するのだ!
「奇襲攻撃」という「卑劣な手段」によって、戦火を広げた大日本帝国。
大日本帝国は、西洋の価値基準において、完全に「悪役」とされています。
いわば、「悪役枢軸コンビ」となってしまった、大日本帝国とナチス・ドイツ。
枢軸国:大日本帝国、ドイツ帝国、イタリアなど
連合国:米国、大英帝国、中国、ソビエト連邦など
「真珠湾」によって、「欧州戦争+独ソ戦」は、文字通り「世界大戦争」に発展しました。
閣僚と統帥部全員が賛成した「対米開戦」決議:苦衷説明した東條首相


「表の歴史」から考えると、「完全な悪役」である東條英機が率いた大日本帝国という国家。
そして、東條英機が「引き起こした」というイメージが一般的である太平洋戦争・大東亜戦争。
ところが、日米戦争開戦時、敗戦時に外務大臣であった東郷茂徳の手記を読むと、「違う歴史」が垣間見えます。



事ここに至りましては、帝国は現下の危局を打開し、
自存自衛を完うするため、



米英蘭に対し、開戦の止むなきに
立ち至りましたる次第であります。
1941年12月1日、東條英機首相は、「どうにもならず、開戦するしかない」と結論づけました。



支那事変も既に四年有余に亘りましたる
今日、更に大戦争に突入致すことと相成り、



宸襟を悩まし奉ることは、つとに恐懼の至りに
堪えぬ次第でございます。
東條首相は、「支那事変に加えて、更に大戦争に突入する危機」を明確に述べていました。



然しながら、熟々考えまするに
国力は、今や支那事変前に数倍し、



国内の結束愈々固く、陸海将兵の士気益々旺盛にして、
挙国一体一死奉公、



国難突破を期すべきは、私の確信して
疑わぬところで御座います。



就いては、別紙本日の議題に付いて、
御審議を願いたいと存じます。



尚、外交交渉、作戦事項其の他の事項に関しましては、
夫々所管大臣及び統帥部側等より御説明申し上げます。
とにかく、東條英機首相は、「かなり厳しいが、一致団結して打破する」ことを明言しました。



次に、自分から交渉の経過並びに米の提案により
交渉継続不可能となった事情を説明した。



尚、内相、農相、蔵相等及び軍令部総長から
説明があった。


この場には、対外条約などを審議する原嘉道 枢密院議長も同席していました。



原議長は、
二、三の質問をした後、



事ここに至っては、
矛を執って立つより外に途はないと思う。



と述べ、全部原案に賛成したので
議案は決定した。
注目すべきことは、外見も温厚である原議長が「矛を執って立つより外に途はない」と言った点です。
東條英機首相が「日米開戦に強引に持っていった」という認識が強い、後世の視点。
この視点とは異なる「真の歴史」は、対米戦争を「閣僚や統帥部が全員賛成していた」ことです。



後刻、御裁可があったと
東條からの知らせで承知した。


戦後、というよりも敗戦後、



対米開戦の責任は、
全てこの東條にある!
このように述べ、対米戦争の「最高責任は自分である」と主張した東條英機。
この東條の主張は「昭和天皇をなんとしても護ること」が第一の理由でした。
それにしても、当時、極めて限られた権限しか持たなかった首相兼陸相であった東條首相。
この開戦の経緯を見ると、現代の歴史観は「誤り」であることが明確に分かります。
「対米戦争は、全て東條が悪い」とする歴史観こそ、きちんと見直すべきと考えます。

