前回は「欧州の危機 1〜ウクライナ戦争とロシア包囲網・不安定な欧州・「未来志向」の米国・欧州の急速なエネルギー政策転換〜」の話でした。
ウクライナのNATO加盟

今年3月に突如勃発した、ロシアのウクライナ侵攻。
東部の都市を中心に、極めて大きな損害を受け、多くの国民が亡くなっているウクライナ。
ウクライナのNATO加盟は、トルコの反対が見込まれるため実現が困難です。
この中、ウクライナ・ジョージアが正式に、EU加盟候補国となりました。

「加盟候補国」は文字通り、「候補」に過ぎません。
これから、EUの規定する様々な基準を、ウクライナが満たすことを明確にする必要があります。
EUの基準とウクライナの国情
ただし、その「EUの基準」には、程遠い状況にあるウクライナ。
正式な加盟への道のりは、厳しそうです。
それでも、非常に速いスピードで「加盟候補国」となったことは、ウクライナにとって、非常に大きなポイントです。
「EUは(NATOと異なり)軍事同盟でないから、反対はしない」と発言していたプーチン大統領。

旧ソ連で一緒だった、ウクライナが、正式な「EU加盟候補国」になり、反発しています。

勢力を拡大しようとするEUですが、2年前には英国が離脱しました。
天然ガス・原油の急騰で、国民の不満が爆発している欧州。
そして、今年の冬にも「ロシアが天然ガスを止める可能性」のある欧州。
瀬戸際にあります。
中国が買い支えるロシアのエネルギー

この中、中国は非常に戦略的に、動いています。
昨年まで、液化天然ガスLNGを、大量に米国から購入していた中国。
最近は、急速に米国からの輸入を低下させ、ほぼ停止の状況になりました。
その代わりに、ロシアから天然ガス等を購入しているのです。
これで、ロシアは「欧州が資源を購入しなくても、中国が買う」状況になりました。
対立続く、ロシアと欧州において、資源が強いカードになっている今。
中国がロシア資源を買い支える状況で、さらに、そのカードの力が強まりました。

中国が買わなくなった分、LNGが余る米国。
戦略上も、欧州へ回すのがベストです。
問題は、急騰しているため「どこで、コストを折り合うか」です。
政策金利を急に上げて、一時的に経済混乱するも、堅調な経済発展へ向かっている米国。
ここは、欧州へ安価でLNGを供給して、欧州の政治・経済状況を安定化させて欲しいです。
それは、米国の国家戦略上も非常にメリットがあり、欧州と米国の結束が強まるでしょう。