中国の戦略 1〜ウクライナのNATO加盟・EUの基準とウクライナの国情・中国が買い支えるロシアのエネルギー〜|国際政治

前回は「欧州の危機 1〜ウクライナ戦争とロシア包囲網・不安定な欧州・「未来志向」の米国・欧州の急速なエネルギー政策転換〜」の話でした。

目次

ウクライナのNATO加盟

左上から時計回りに、Volodymyr Zelenskyウクライナ大統領、Joe Biden米大統領、Xi Jinping(習近平)中国家主席、Vladimir Putin露大統領(Wikipedia)

今年3月に突如勃発した、ロシアのウクライナ侵攻。

東部の都市を中心に、極めて大きな損害を受け、多くの国民が亡くなっているウクライナ。

ウクライナのNATO加盟は、トルコの反対が見込まれるため実現が困難です。

この中、ウクライナ・ジョージアが正式に、EU加盟候補国となりました。

「加盟候補国」は文字通り、「候補」に過ぎません。

これから、EUの規定する様々な基準を、ウクライナが満たすことを明確にする必要があります。

EUの基準とウクライナの国情

ただし、その「EUの基準」には、程遠い状況にあるウクライナ。

正式な加盟への道のりは、厳しそうです。

それでも、非常に速いスピードで「加盟候補国」となったことは、ウクライナにとって、非常に大きなポイントです。

「EUは(NATOと異なり)軍事同盟でないから、反対はしない」と発言していたプーチン大統領。

Vladimir Putin露大統領(Wikipedia)

旧ソ連で一緒だった、ウクライナが、正式な「EU加盟候補国」になり、反発しています。

Boris Johnson英首相(Wikipedia)

勢力を拡大しようとするEUですが、2年前には英国が離脱しました。

天然ガス・原油の急騰で、国民の不満が爆発している欧州。

そして、今年の冬にも「ロシアが天然ガスを止める可能性」のある欧州。

瀬戸際にあります。

中国が買い支えるロシアのエネルギー

Xi Jinping国家主席(Wikipedia)

この中、中国は非常に戦略的に、動いています。

昨年まで、液化天然ガスLNGを、大量に米国から購入していた中国。

最近は、急速に米国からの輸入を低下させ、ほぼ停止の状況になりました。

その代わりに、ロシアから天然ガス等を購入しているのです。

これで、ロシアは「欧州が資源を購入しなくても、中国が買う」状況になりました。

対立続く、ロシアと欧州において、資源が強いカードになっている今。

中国がロシア資源を買い支える状況で、さらに、そのカードの力が強まりました。

Joe Biden米大統領(Wikipedia)

中国が買わなくなった分、LNGが余る米国。

戦略上も、欧州へ回すのがベストです。

問題は、急騰しているため「どこで、コストを折り合うか」です。

政策金利を急に上げて、一時的に経済混乱するも、堅調な経済発展へ向かっている米国。

ここは、欧州へ安価でLNGを供給して、欧州の政治・経済状況を安定化させて欲しいです。

それは、米国の国家戦略上も非常にメリットがあり、欧州と米国の結束が強まるでしょう。

新地球紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次