前回は「欧州の根幹の危機〜ロシアの領土併合は「絶対認められない」欧州・「ロシア寄り」を明示するトランプ大統領・「Dealの帝王」の狙い〜」の話でした。
30日間の「部分停戦合意」に応じたプーチン大統領:完全平行線の和平

2025年3月19日時点で、プーチン大統領が「一部の停戦」に応じる発表をしました。

We agrees to halt strikes on Ukraine
energy targets for 30 days.
米国や欧州が「30日間の完全停戦」を求めていたのに対して、「部分停戦合意」に留めたプーチン大統領。
この「部分停戦合意」トランプ大統領とプーチン大統領の電話会談の結果でした。



なんとしてでも、
RussiaとUkraineを停戦させてみせる!
こう意気込んでいたトランプ大統領。
2024年の大統領選挙の際には、



私が大統領に就任すれば、
Ukraine Warを即終わらせられる!
ウクライナ戦争の「即和平の実現」を謳い、事実上「公約に準ずる」約束をしたトランプ大統領。
ところが、ゼレンスキー大統領は「ロシアとの歴史」を語り、



In 2019, we signed with him(Putin),
the deal.



We signed him(Putin)
gas contract.



But after that,
he has broken this ceasefire,



He killed our people,and he
didn’t exchange prisoners.
今まで、ロシアと「約束を反故にされてきた」怒りを露わにしました。



Russiaに
領土は渡せない!



安易にRussiaとの
和平は応じられない!
そして、ウクライナの一部を掌握しながらも、反撃で「攻め込まれた」ロシアは、



ここまで領土を獲得したのだから、
和平ではUkraineの領土は頂くのが当然・・・
全く話が平行線となり、「Dealの帝王」トランプ大統領も、



これでは、Dealの
しようがない・・・
Deal成立を断念し、「ウクライナ戦争の和平」を一時諦め、「30日の停戦」に舵を切っていました。
ロシアが望む超重大な「インテリジェンスの共有」





具体的プランで、
Europe全土でUkraineを守る!



なんとしても、Ukraineを
守ってみせる!
対して、欧州は運命共同体として、ウクライナを完全サポートする姿勢を明確にしています。



なんとしても、せめて
30日の停戦だけでも早期に合意させねば・・・



そうしなければ、私、そして我が
United Statesのメンツが立たん・・・
全く「和平の気配」すら進行しない中、トランプ大統領は「プーチン大統領との直接電話」に臨みました。
本来ならば、「対面での直接会談」が望ましいですが、「どちらがどちらへ行くか」が問題です。
「トランプ大統領がモスクワへ」も「プーチン大統領がワシントンへ」も「ない」です。
その中、「別の国」しかありませんが、「直接会談」は最終切り札に取っておきたい両者は、



まずは、電話で
直接会談だ!



電話会談くらいなら、
受けよう・・・
そして、電話会談となり、「何かの進展」が確実に見込まれました。
トランプ大統領としては、「電話会談して何も進展しなかった」とは絶対に言えず、



少なくとも、「なんらかの譲歩」は
確実にすることを約束してもらいたい!



「なんらかの譲歩」は
あなたとの関係上、約束しよう・・・
おそらく、事前に「なんらかの譲歩」は約束されていたはずです。
そして、30日間の「部分停戦合意」となりましたが、これは「停戦」と呼べるものではありませんでした。



30日間、Ukraineのエネルギー施設への
攻撃は中止しよう・・・



だが、完全停戦とは
全く別だ・・・
譲歩したプーチン大統領は、「最小限の譲歩」に留める戦略を打ち出しました。
さらに、プーチン大統領は「多数の条件」を出し、その中には、



The key condition should be the complete cessation of foreign military aid and sharing intelligence with Kyiv.



・・・・・
これには、トランプ大統領と言えども「無言」になってしまうような、強烈な要求でした。
この要求の内、「欧米の軍事支援の完全な停止」は、和平のためには必要です。
極めて重要なのは、後半の「インテリジェンスをキエフと共有すること」でした。



Intelligenceの
共有か・・・
「インテリジェンス・諜報をロシアと共有する」ことは、米国としては「絶対出来ない」ことです。
様々な国とインテリジェンス・諜報を共有してきた歴史を持つ米国。
米国と最も「インテリジェンス共有の歴史」を持つのは英国です。


第二次世界大戦では、早い時期から米国と英国は、各国情勢や原爆に関するインテリジェンスを共有し、



早くHitlerを
叩き潰すには、USと完全協調!



United Kingdomとは
かなり深いIntelligenceも共有!
このように「インテリジェンスの共有」は、原則として「友邦同士」となります。
一方で、冷戦期に、米ソで「戦争を防ぐためのインテリジェンス共有」の例もあり、



かつてのUSとSovietように、
Intelligence共有を!
プーチン大統領が望んでいるのは、「二大超大国だった米国とロシア(ソ連)」の関係でしょう。
いずれにしても、現在の米国とロシアの関係から、一気に「インテリジェンスの部分共有」は不可能です。
一方で、「インテリジェンスの(部分)共有」を重要な交渉ポイントにしているプーチン大統領。



我がUSとの
Intelligenceの(部分)共有・・・
「Dealの帝王」トランプ大統領から見れば、「検討可能」ではあります。
「検討可能」であることは、領土に関して「完全平行線」よりは遥かに良いことであり、



この要望に
USはどう出てくる?
プーチン大統領の要望は、根幹であり「検討可能」である点で極めてポイントを突いています。
この「インテリジェンスの(部分)共有」に関する、トランプ大統領の次の手に注目です。