普通借家契約と定期借家契約の大きな違い〜「追い出す側」が強い再開発案件・超重要な都市計画法上の手続き〜|不動産契約の基本1

前回は「偽造される「存在しないはず」の工事請負契約書〜国交省の監視不足・建築不動産裁判の前哨戦「代理人同士の話し合い」〜」の話でした。

目次

「追い出す側」が強い再開発案件:超重要な都市計画法上の手続き

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工事現場(新地球紀行)

筆者は、建築・不動産の紛争や裁判に関するコンサルティング業務も行っています。

建築や不動産に関する紛争は、金額が高額になる傾向があり、多くの場合、損害賠償事件となります。

かつて、退去遅延に関する建築裁判のコンサルティング業務を行いました。

追加工事発注の因果関係

1.被告の行為によって、新たな別途(追加)工事が必要となった事実

→2.その別途(追加)工事を実際に行った事実

→3.その別途(追加)工事の費用を原告が支払った事実:損害

上のような流れで、被告側になったのは「退去を拒否した」会社で、筆者は被告側でした。

被告の代理人弁護士から、この事件の相談に関する相談を受けました。

「退去遅延」に関しては、原告側は「追い出す」必要があるので、その裁判があり、

被告側弁護士S

退去遅延に関する
裁判では、敗けました・・・

被告側弁護士S

そして、裁判所による
強制執行によって、退去させられました・・・

本件は、再開発案件であり、ある会社が「ビルの建て替え」をすることとは全く異なります。

再開発案件は、理事会などだけではなく、自治体も関わり、都市計画法に基づく手続きがなされます。

原告側弁護士P

都市計画法上の
手続きを経ているにも関わらず・・・

原告側弁護士P

A社が退去を拒否しているのは、
問題です!

「法律上の手続きが為されている」ため、裁判官の判断は当然のことながら「法律側」となり、

裁判官A

確かに
その通りですね!

再開発案件では、「賃貸側」が敗北することが多いのが実情です。

一般的な「ビルを建て直す」案件においては、追い出す側と追い出される側、それぞれに思いがあります。

それに対して、再開発案件においては、「退去を求める側」に利があります。

普通借家契約と定期借家契約の大きな違い:不動産契約の基本

新地球紀行
東京(新地球紀行)

一般的な「ビルを建て直す」案件においては、テナントとビル側の賃貸契約内容が極めて重要です。

多くの場合、賃貸契約内容は「期限を限った」定期借家契約です。

定期借家契約の期間は2年であることが多いですが、例えば「定期借家契約が3年」の場合は、

テナントA

3年ごとに契約更新だから、
その契約更新時には、退去の可能性もある・・・

「契約更新ごと」に退去する可能性があることを、テナント側は認識する必要があります。

対して、普通借家契約では、「契約の期限がない」契約となります。

定期借家契約と異なり、普通借家契約では、テナント側が望めば、契約を延長出来る契約です。

普通借家契約と定期借家契約

普通借家契約:契約の期限がなく、借主(テナント)側が有利

定期借家契約:契約の期限があり、貸主側が有利

テナントA

普通借家契約だから、
こちらが気に入れば、ずっといられる・・・

このように全く異なるのが、普通借家契約と定期借家契約です。

貸主側は「賃料収入を得る」ことが目的で貸しているので、不動産経営はビジネス的視点が強いです。

貸主B

定期借家にしたいが、
普通借家の方が入ってくれるかも・・・

実態としては、定期借家の方が多いですが、貸主側にも様々な思惑が働きます。

借主側としては、「普通借家の方が望ましい」傾向があります。

対して、貸主側は、「定期借家の方が望ましい」傾向があります。

一方で、不動産経営は「借主がいなければ成り立たない」ので、その塩梅が重要です。

この「普通借家と定期借家の違い」は、不動産契約の基本中の基本とも言えます。

実際に「退去を求められる」時には、極めて大事になります。

特に、店舗や事務所などを経営する会社・法人にとっては、未来を左右します。

借主の方は、契約条項含めて不動産契約には注意を払い、仲介会社とよく協議することが望ましいです。

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