「PISAランキング」と創造性〜創造性を育む教育とは何か?・「一人一台PC端末」の未来・教育の目的と手段〜|GIGAスクールの問題点3

前回は「「劇的に」変わる学校教育の未来〜「手先で学ぶ」PC中心の教育・Innovationを引き起こす力と教育・GIGAスクールのI〜」の話でした。

目次

創造性を育む教育とは何か?:「一人一台PC端末」の未来

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小学校のイメージ(新地球未来紀行)

現代の日本の小学校教育は、猛烈な勢いで変わりつつあります。

この「猛烈な勢いの変化」の理由は、文科省が推進している「GIGAスクール構想」です。

GIGAスクール構想の”GIGA”

Global and Innovation Gateway for All

文科省

「日本発のInnovation」を
起こすには教育が大事だ!

文科省

GIGAスクール構想
によって、日本の教育に大改革をもたらす!

強そうなイメージの「GIGA(ギガ)」には、文科省の意気込みが感じられます。

そして、この「GIGA構想」の骨格は、「一人一台の端末(PC)」です。

子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて
(2019年文科省、一部抜粋)

この新たな教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げるものです。

文科省

日本の子供達全員に
PC端末を配布します!

文科省

子供達が全員一斉に
ネットにアクセスする環境は・・・

文科省

創造性を育む学びに
寄与します!

つまり、「小さい頃からPC端末を使いながら学ぶこと=創造性を育む」という論理です。

この「創造性を育む」という姿勢は教育の根幹であり、非常に重要です。

その一方で、「全員がPC端末を持つ」ことが「創造性育成」に直結するかは、疑問が残ります。

「PISAランキング」と創造性:教育の目的と手段

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昔の小学校@開智小学校(新地球未来紀行)

この「PC端末を持つ」ことが「創造性育成」と、どのように繋がってゆくか、という大問題。

この大問題自体に関しては、文科省も気づいており、下記のような文章が続きます。

子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて
(2019年文科省、一部抜粋)

忘れてはならないことは、ICT 環境の整備は手段であり目的ではないということです。

子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことが必要です。

文科省自身も、

文科省

子供達全員にPCを
配布するICT環境整備は・・・

文科省

手段であり、目的では
ありません!

このように述べており、「目的と手段は違う」ことを高らかに謳っています。

この点は良いのですが、結局「その目的は」というと、

文科省

子供たちが変化を前向きに受け止め、
豊かな創造性を備え・・・

ここでも「創造性を備えること」が目的となっており、とにかく「創造性育成」が目的です。

その一方で、文科省が常に意識しているのは、「PISAランクング」です。

順位国名単位:pts
1シンガポール542.55
2アイルランド516.01
3日本515.85
4韓国515.42
5台湾515.17
6エストニア511.03
7マカオ510.41
8カナダ507.13
9米国503.94
10ニュージーランド500.85
2022年 PISA 読解力(平均得点)

PISA読解力ランキングで、日本は堂々の3位であり「トップクラス」です。

2000年以降、3年ごとに実施されるこの「PISAランキング」は、報道でも話題になることが多いです。

この「PISAランキング」日本は浮き沈みあるものの、「上位であり続けている」のが実態です。

ダントツトップのシンガポールは、国家の体制がICTにいち早く向かっていることがポイントです。

英語が公用語であるシンガポールは、アジアのハブであり、コンパクトでハイレベルな国家です。

このランキング8位に、「世界トップの創造力」を発揮し続けている米国が入っています。

その一方で、ランキング上位にはアジアが多く、欧州の国家が少ないことも特徴です。

この「PISAランキング」が高いことは良いことですが、「平均」であることが重要です。

「平均を押し上げる」方針と「創造性を育む」方針は、正反対とはいかなくても、両立は困難です。

さらに、貧富の差が激しい米国においては、大学の費用などにおける「教育機会の差」も大きいです。

文科省

我が日本は
「PISAランキング」でトップクラスです!

この中、「PISAランキング」を「過大に重視」し続ける文科省の姿勢には、疑問符がつきます。

上の2022年「PISAランキング」は、2位〜5位の点数差が「ほとんどない」です。

試験の点数の小さな差は、学力とはほとんど無関係です。

入学試験や資格試験においては「ある点で区切る」必要があり、

採点者A

〜点以上を
合格とする!

「1点差」は極めて大きい場合がありますが、本来「一点差」は「能力の差」ではありません。

「1点差」はもちろん、総合点にもよりますが「10点差」程度は「同じ」と表現しても良いです。

この中、「創造性育成」と「PISAランキング重視」の文科省は、方針がブレているように感じます。

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