憂鬱になる建築士の定期講習〜「3年に一度」の義務・不在の医師や弁護士や会計士などの「定期講習」・定期講習ではなく「各個人の責務」・資格に対する義務と責務〜|日本の国家資格

前回は「国家資格の重みが軽い日本〜偽医師と偽一級建築士・偽弁護士が少ない理由・弁護士記章の重みと偽造の難しさ・一級建築士の受験資格・偽造が多数あると思われる「実務経験」・国家資格の重要性と受験資格の全数調査の必要性〜の話でした。

目次

憂鬱になる建築士の定期講習:「3年に一度」の義務

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設計図書と模型(新地球紀行)

今年も、少し嫌になる書類が届きました。

また、あの講習を
受けなければならないのか・・・

建築士の定期講習受講に関する通知です。

建築士事務所に所属する建築士は、3年ごとに定期講習を受ける必要があります。

建築基準法等の建築に関する法令は、比較的頻繁に変わるので、

ちゃんと、法令や手続きが
変わったことを認識してください!

という国交省や国家の意図があるようです。

この「法令や手続きの理解を推進」する姿勢は、よく分かります。

ただ「3年に一度」というのは結構多い頻度であり、

なぜ、こういう講習を
受けなければならないのだろう・・・

費用も相応にかかり、時間もかかるので、負担であることは事実です。

不在の医師や弁護士や会計士などの「定期講習」

新地球紀行
弁護士記章(Wikipedia)

確かに、こういう「定期講習」は「必要」なのかもしれません。

「3年に一度」は、運転免許の更新などよりもはるかに頻繁ですが、

法令や手続きは、3年も経過すると
大きく変わるから・・・

建築士の皆さんには、しっかりと
最新の法令・手続きを理解してもらいたい!

ということなのでしょう。

一方で、医師や弁護士や会計士などの国家資格に「定期講習」が存在することは聞いたことがありません。

日本において、建築士の資格よりも「社会的地位が高い」資格である医師や弁護士や会計士などの資格。

そもそも、建築士に定期講習が課せられるようになったのは、耐震偽装事件以来のことと思われます。

ちょっと「構造設計プログラムを改ざん」しただけで、「全く建築基準法に適合しない」建物が生まれました。

その「改ざん」方法が、「プログラムに関する極めて高い技能者」ではなく、

地震動の入力を
低減しました・・・

建物の構造に根幹的影響を与える「地震の強さ」を「勝手に低くする」というローテクだったのでした。

この社会的大事件を経て、

建築士には
定期講習を課すべきだ!

という声が上がり、「3年に一度の定期講習」が開始しました。

定期講習ではなく「各個人の責務」:資格に対する義務と責務

新地球紀行
東京(新地球紀行)

おそらく、この「耐震偽装事件」で一気に建築士に対する評価が下がったのでしょう。

建築士は勝手なことを
する連中なんじゃないか?

建物を建てるときに必要な建築確認申請は、「建築士の重大な職権」です。

規模・構造によって、一級建築士・二級建築士・木造建築士の「申請可能な建物」があります。

そして、耐震偽装事件では大きなマンションの構造設計を、ある建築士一人が担当していました。

この耐震偽装事件以来、

構造設計は、審査機関だけではなく
ピアチェックが必要だ!

という声が上がり、ある規模以上のマンションや公共施設等の建築確認申請は厳格化しました。

この「審査の厳格化」は、建物の品質を保つためには大事なことだと思います。

そもそも、

地震動の入力を
自分の判断で、勝手に低減しました・・・

という「一建築士の独断で、簡単にプログラムを改ざん」した事件。

この程度の「入力を下げる」くらいのことは、もともとプログラムがガードしておくべきでした。

例えば、地震に強い建物を設計するために、

この建物の地震動を
強くして構造設計しよう!

と、地震動の入力を「強く」は出来ても、「弱く」は出来ないようにしておくべきでした。

その意味では、プログラムを作成した会社にも問題があったでしょう。

いずれにしても、このとき以来発生した「建築士の定期講習」。

最近は「オンライン受講」が可能となって、だいぶ負担が減りました。

昔は朝9時30分頃から夕方17時頃まで「丸一日中」の講習であり、極めて大きな負担でした。

「オンライン受講」で、だいぶ緩和された感じのある定期講習ですが、負担は負担です。

建築士の皆さんは、
講習を課すべき対象だ!

ということでありますが、それは医師・弁護士・会計士などの他の国家資格も同様でしょう。

この「定期講習」は「義務」ではなく「任意」にして欲しい。

そして、最新の法令や手続きの認知は、他の資格と同様に「各個人の責務」とすべきでしょう。

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