前回は「「違反建築物」が跳梁跋扈する日本の都市〜民民不介入で「いつも他人事」の行政・秀逸な皇居周辺の空間・醜い電柱や電線がない特別な空間〜」の話でした。
「景観に配慮した都市・街」ではない日本の都市:電柱や電線が多い街

欧米、特に欧州の都市や街と比較して、「美しくない」と表現されることが多い日本の都市や街。

美しい街といえば、まずはParisが筆頭に挙がります。
実際にParisを訪問すれば分かりますが、建物の高さが揃っているので、ビシッとした景観が美しいです。
当然ながら、中心部には電柱も電線も一本もなく、「目障りなもの」はほとんどありません。

Parisとは、また異なった都市景観を持つLondonもまた、美しい街です。
「街の清潔さ」では、東京などの方が上である面がありますが、「美しさ・統一感」では敗北確実です。

電柱や電線がたくさんあり、電柱の上に変圧器まであることが多い日本の都市。
グレーの電柱や真っ黒な電線を見るだけでも、テンションが下がりますが、あの変圧器の醜さはひどいです。

グレーというよりも、黒い印象の大きな物体がドテンと電柱の上にあり、景観云々以前に危険です。
このように、「景観に配慮した都市・街」であるとは到底言い難いのが、日本の都市・街です。
積水ハウス国立市の新築マンションの完成直前解体の衝撃:不合理な事前協議

この「景観配慮」ではない日本の都市において、驚愕するようなニュースが飛び込んできました。
住民の反対が根強かった国立市の新築マンション(積水ハウスが施工)に対して、

住民の反対が大きいので、
完成間際ですが、解体します!
積水ハウスは「住民の反対」に押されて、完成間近で解体を決定したようです。
一部では「大英断」と称賛されている一方で、「なぜ?」の声も多いこの「異例すぎる」決断。


「住民の猛烈な反対」の理由は、「もともと見えていた富士山の眺望が新築マンションによって妨げれられる」です。



私たちの富士山への眺望が
失われてしまう・・・



ここは昔から「富士山が望める」から
「富士見通り」だったのだ!
この住民たちの意見は、もっともであり、ある意味で合理的でもあります。
一方で、商業地域という「マンションやオフィスビル等が建築しやすい」地域に建設された新築マンション。
国立市の条例に従って、条例の協議を行った積水ハウスは、



11階建てのマンションを
計画しています。



いや、さすがに高すぎるから
10階建てにして欲しい・・・



採算性が落ちますが、
仕方ありません・・・



10階建てに設計変更して、
工事を進めます。



この規模で、こういう計画ならば、
条例に従っていると認めましょう。
少し規模を縮小した積水ハウスの設計案に対して、条例に基づく申請を受理・許可した国立市。
そして、積水ハウスは、この新築マンションの設計と施工を進めましたが、完成・引き渡し間近で、



やはり、住民の反対が
根強い・・・



ここは、景観重視の姿勢を
出した方が良さそうだ・・・
このように「景観重視を最優先に考えた」積水ハウスは、



完成間際ですが、
解体します!
「謎の大英断」を決定しました。
ただ、この「謎の大英断」は、建築・建設業界としては受け入れ難いものであります。
また、地球規模から見れば「微々たるもの」かもしれませんが、無用の産業廃棄物が出るのも頂けません。
本来であれば、条例に基づく事前協議できちんとして「白黒ハッキリして、しっかり進める」のが望ましいです。
自治体の方々には、ぜひ条例に基づく協議を「曖昧に」せず「しっかりと相互で話し合って」進めて欲しい。
次回は上記リンクです。