前回は「「明らかに高額」の設計会社作成の工事見積書〜「工事を行う力も資格もない」設計会社の見積書・建設業免許と工事〜」の話でした。
淡々と粛々と進む裁判:「損害額の根拠」と書面ベースの戦い

建築裁判に関わり、意見書作成などのコンサルティング業務を行い、大小80件以上の裁判に関わりました。
・原告が主張する因果関係・ストーリー
・損害額の根拠となる書証:工事請負契約書や工事見積書
世の中には、様々な裁判がありますが「損害賠償裁判」においては、「損害額の根拠」が非常に重要です。

損害賠償を主張するのは
結構ですが・・・



その金額の根拠が明白で
なければ、論外です。


建築裁判を通して、初めて裁判所を訪問する機会を得ました。
様々な地方裁判所を訪問しましたが、東京地方裁判所は規模が別格で、内部空間は天井が非常に高いです。
裁判の主張も様々あると考えますが、「損害額の根拠」が不可欠であることは、一般人には馴染みが少ないです。
裁判の場では、「侃侃諤諤の論争」が行われると思っていましたが、



原告の損害賠償の
主張は、この書面です。



被告の反論は、
この書面です。



それぞれの主張と反論が
揃いましたね。



それでは、被告の反論に対して、
原告は主張することがありますか?



あります。
次回、準備書面を提出します。



そうですか。
それでは、次回の期日は〜月〜日はいかが?



その日は
差し支えます。



では、A月B日は
いかが?



はい、
結構です。



当方も
結構です。



それでは、次回期日は
A月B日とします。



その一週間前までに
準備書面を提出してください。



それでは、
これで終わります。
このような感じで、淡々と粛々と、進むのが裁判です。
中には、激論が交わされる裁判もあるのかもしれませんが、概ね、このような感じで「書類ベース」で進行します。
筆者の率直な意見としては、



あまりに書面ベースなので、
対面して話す意味はないのでは?
このように「思わざるを得ない」裁判もあります。
「不自然な要素が満載された」設計会社作成の工事見積書


そして、大多数の建築裁判では、原告は「損害賠償請求額の根拠」として、工事見積書を提出します。



この工事見積書の
金額が原告の「見込まれる」損害です!
この工事見積書が「実際に工事し、支払いを行った」見積書であれば、一通りの論理は通ります。
ところが、数多くの建築裁判では「見込まれる」損害額が、工事見積書として提出されます。
そして、極めて多くの場合で、これらの工事見積書は設計会社・設計事務所が作成しています。



私たちは工事のことが
分かるので、工事見積書を作成しましょう!
おそらく、設計会社は、建物の調査の一環として、あるいは、工事見積書作成を業務として請け負っています。



設計会社が作成した、
バッチリの工事見積書です!
そして、工事見積書は、「工事をする能力も資格もない」設計会社作成ですが、それなりによく出来ています。
それは、様々な工事見積書の提出を建設会社から受けて、工事見積書のデータがストックされているため、



この工事では、このような
工事が発生して・・・



これに材料費や工事費以外に、
共通仮設費などが加わって・・・
建設会社作成の見積書をベースとすれば、「体裁が整った見積書」を作成することが可能です。
ところが、「一見よく出来ている」この「設計会社作成の工事見積書」は、要注意です。
中には、「設計会社作成の工事見積書」内の全ての項目を念入りにチェックしていると、



この工事は、
なんだろう?
よく分からない工事が含まれていることもあります。
さらに、時々見かけるのは、



この工事は、
一体どうやって施工するのだろう?
建物の規模・計画地・用途を考えると、「明らかに不可能な工事」が含まれていることがあります。
そして、その「明らかに不可能な工事」に、かなり多額の費用が見込まれていることが多いです。
これは、工事見積書を作成した設計会社が、



金額を水増ししなければ
ならないから・・・



大きな部材で、過大な費用を
見込んで入れておけば良いか・・・
このような意図で、「適当」ではなく「テキトー」に工事見積書を作成していると思われます。
裁判所は、まだ実行されていない「予定」の工事見積書を証拠・書証として提出されたら、



これが損害額の
根拠の工事見積書ですね!
このような間抜けな姿勢ではなく、しっかりと精査して、訴訟指揮をとるべきと考えます。