米国に翻弄され続けた外務省〜決意固めた東郷外務大臣の思惑・「大きすぎる大艦隊」第一航空艦隊・徹底的な情報秘匿に成功〜|リメンバー・パール・ハーバー30・真珠湾奇襲攻撃

前回は「「異常に素直」な電文「ニイタカヤマノボレ一二〇八」到来〜「忍者の如くひっそりと」真珠湾に近づく南雲艦隊〜」の話でした。

目次

米国に翻弄され続けた外務省:決意固めた東郷外務大臣の思惑

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東郷茂徳 外務大臣(Wikipedia)

日本が、中国などで戦争を繰り広げていた1941年11月下旬。

米国のハル国務長官から「ハル・ノート」が日本外務省に手渡されました。

その書面は「絶対に日本が呑めない」ことばかりが、書きつられていました。

「日米交渉の司令官」とも言える立場であったのが、東郷茂徳 外務大臣でした。

東郷茂徳

ここまで強硬な
姿勢を米国が持っているとは・・・

東郷茂徳

今までの日米交渉は
なんだったのか・・・

「ハル・ノート」の内容が強烈すぎて、現地の米大使館が「何をやっていたのかが謎」なレベルでした。

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ルーズベルト大統領と日米交渉直後の野村吉三郎・栗栖三郎 米国大使:1941年11月27日(Wikipedia)

「ハル・ノート」が出される直前、ルーズベルト大統領と会談したのが野村・栗栖両大使でした。

東郷茂徳

野村や来栖からの
報告では、もう少し良い感じだったが・・・

東郷茂徳

なぜ、なぜ米国は
突然、ここまで強硬な姿勢になったのだ・・・

鹿児島(旧薩摩)出身の東郷茂徳は、薩摩隼人らしい気骨を持っていた人物でした。

東郷茂徳

やむを得ん・・・
我が外務省も対米戦に向けて、常在戦場だ!

日露戦争の日本海海戦で有名な東郷平八郎と、東郷茂徳は無関係です。

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Cordell Hull米国長官(Wikipedia)
Cordell Hull

我がUnited Statesは、
とっくの昔に日米戦を決めていたのだ!

日本側の野村・栗栖両大使と交渉を続けていた、「米外交の司令官」ハル長官。

実際に、ルーズベルト大統領とハル長官が「いつ、対日戦を決定したか」は諸説あります。

東郷茂徳

ハル長官と、何度も何度も
具体的な交渉をしていたのだが・・・

いずれにしても、「米国に翻弄され続けた」のが当時の日本外務省の実態でした。

「大きすぎる大艦隊」第一航空艦隊:徹底的な情報秘匿に成功

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左上から時計回りに、山本五十六 連合艦隊司令長官、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、宇垣纏 連合艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

陸海軍の幹部・将兵たちは、対米戦開戦へ具体的に準備をしていました。

ハル・ノートは1941年11月27日(日本時間)に手渡されましたが、その前日の26日には、

南雲忠一

よしっ!
真珠湾へ向かう!

草鹿龍之介

空母六隻からなる
大艦隊で真珠湾へ!

すでに「悲観的だったはず」の日米交渉が継続しており、さらに「大奇襲攻撃」であったこの出撃。

この頃の日本海軍の「情報秘匿」は徹底していました。

ほとんどの将兵たちは、

旧日本海軍将兵A

随分な大艦隊だが、
どこへ向かうのだろう?

旧日本海軍将兵B

さあな・・・
どうやら艦長までしか知らないようだ・・・

この時は、南雲司令長官・草鹿参謀長以下、司令官と艦長のみが知らされていました。

「米太平洋艦隊の本拠地である真珠湾へ奇襲攻撃に向かうこと」を。

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第一航空艦隊(ビッグマンスペシャル 連合艦隊上巻 勃興編 世界文化社)

空前の大艦隊を編成した第一航空艦隊。

第一航空戦隊・第二航空戦隊・第五航空戦隊からなる第一航空艦隊は、「大きすぎる艦隊」でした。

第一航空艦隊:真珠湾奇襲攻撃実行部隊

第一航空戦隊(南雲司令長官直卒):空母 赤城・加賀

第二航空戦隊(山口司令官)    :空母 飛龍・蒼龍

第五航空戦隊(原司令官)     :空母 翔鶴・瑞鶴

正規空母二隻ずつを持つ各戦隊には、それぞれ司令官がいます。

ここで、第一航空戦隊は南雲司令長官が「司令官を兼ねる」立場でした。

この「司令官を兼ねる」のは「日本的発想では納得」ですが、ある意味では「曖昧な組織」でした。

南雲忠一

私は
第一航空艦隊司令長官だ!

そもそも、南雲司令長官が第一航空艦隊司令長官であれば、

南雲忠一

私は
第一航空戦隊司令官でもある!

本来ならば、第一航空戦隊司令官は、別の人物の方が明確でした。

「最高責任者を明確に」という意味では、「司令長官を置くこと」は大事です。

ところが、各艦の艦長がいる中「最高司令官と各艦の間の司令官」の立場は微妙でした。

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山口多聞 第二航空戦隊司令官(Wikipedia)
山口多聞

私は第二航空戦隊司令官
であり、空母蒼龍と飛龍を率いる!

実際、「攻撃命令の権限」に関して、第二航空戦隊や第五航空戦隊の司令官の権限は曖昧でした。

後に旗艦を飛龍に変更するも、真珠湾奇襲攻撃時には旗艦を蒼龍としていた山口司令官。

山口多聞

私は蒼龍から
第二戦隊を指揮する!

ところが、「最終的な命令権限」は南雲司令長官及び草鹿参謀長が握っていました。

これらの点は、米国の方が「遥かに権限が明確」でした。

この「曖昧さ」は、日本海軍・連合艦隊の米海軍より劣る点でした。

一方で、空母六隻もの大艦隊を派遣し、「ずっと情報を秘匿しながら、遠方の攻撃に向かった」連合艦隊。

確かに、日本海軍・連合艦隊の作戦実行能力は、世界の海軍でトップクラスでした。

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東條英機 首相兼陸軍大臣(国立国会図書館)
東條英機

我が陸軍は、
中国から一気に戦線を拡大する!

東條英機

南方資源地帯や東南アジアを
一気に攻略するのだ!

陸軍もまた、対米戦と同時に東南アジアに大展開する作戦を持っていました。

ここで、外務省には「極めて重要な仕事」がありました。

東郷茂徳

米国には、こちらの攻撃前に
最後通牒をしなければ・・・

その「極めて重要な仕事」とは、米国へ対米戦開始を通告する「最後通牒の交付」でした。

次回は上記リンクです。

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