林則徐欽差大臣登場〜19世紀の欧米列強のアジアを見下す姿勢・激怒した林則徐・大英帝国の反撃・交渉決裂から強行姿勢へ〜｜欧米とアジア3

前回は「大英帝国が目論んだ大貿易戦略〜英国と中国とインドの三角貿易・民主主義の発祥の地の大英帝国・英国から中国への大量の金銀流出・青ざめた「世界一の領土を持つ」国〜」の話でした。

林則徐欽差大臣登場：19世紀の欧米列強のアジアを見下す姿勢

当時、GDP世界一の清国の市場へ麻薬であるアヘンを大量に流して、銀を得る大英帝国。

清→大英帝国	茶
大英帝国→インド	綿製品
インド→清	アヘン

主に茶・綿製品・アヘンの3つの製品が大英帝国・清国・インドを駆け巡りました。

その物品の流れと「逆回り」にお金が回ることになりました。

大英帝国で大流行であった茶によって「清国に流れていた金銀」が大英帝国に戻ってくるスキームです。

言われてみれば当然のことですが、実に巧妙に考えられたスキームでした。

ここで、大問題だったのは、インドから清へ持ち込まれた製品が「アヘンという麻薬」だった点でした。

「アヘン販売」を考えた大英帝国の当事者たち。

ここで、なぜよりによって麻薬であるアヘンを大量に清に売りつけたのか。

ここには、19世紀の欧米列強の「アジアを見下す」視線があったのでしょう。

これに対して、当時高級官僚だった林則徐は、

「アヘン撲滅」を皇帝へ上申しました。

「アヘン撲滅」という特定分野において、皇帝の全権委任を受ける欽差大臣となった林則徐。

大英帝国から、大量のアヘンが持ち込まれていた広東(Guang Dong)へ向かいました。

激怒した林則徐

太平洋の入り口に位置する広東は、当時も非常に栄えていました。

この大繁盛の港で、大英帝国の商人たちが「大っぴらに」アヘンを荷上げしているのを見た林則徐。

怒りに震えた林則徐欽差大臣。

皇帝の全権委任を受けているので、全てを林則徐が判断できました。

大英帝国が荷上げしていたアヘンを全て没収し、焼き捨てました。

大英帝国の商人たちは、激怒しました。

本来、「麻薬であるアヘンを持ち込んでいる」彼らが悪いのですが、そんなこと関係ありません。

大英帝国の反撃：交渉決裂から強行姿勢へ

そして、「アヘン密輸を妨害されて、商品が焼かれた」と英国本国に通報が入ります。

正規商品であれば、大いに強気に出れる大英帝国ですが、

大英帝国・外務省としても、なんとも対応しにくいです。

さらに、「民主主義発祥の地」を自認する大英帝国として、「麻薬で正式に外交折衝」は困難でした。

そして、大英帝国は外交官を派遣して、清国と折衝を開始しました。

ところが、超強硬姿勢の林則徐。

この強気の姿勢が道光皇帝から買われて、大役を任された林則徐。

「せめて補填を」と考えた英国商人たちの要求は、「即却下」となりました。

こうなっては、「お金の問題」から「メンツの問題」に本質が変化しました。

非常な強硬姿勢に、ついに大英帝国は東インド艦隊を清へ向かわせました。

次回は上記リンクです。